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2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」を受け、出入国在留管理庁は、外国人の在留期間や在留資格の手続について複数の特例措置を実施しています。
特例措置には、在留期間そのものが延長される措置のほか、地震の影響で届出が遅れた場合の救済、在留期限までに更新・変更申請ができなかった場合の取扱い、さらに本来の仕事ができなくなった外国人が一時的に別の仕事をするための資格外活動許可の特例などがあります。
入管のHPでも公表されてはいますが、字も多く内容が複雑で外国人にとっては理解するのが大変かと思いましたので今回は私の方で内容を簡潔にお伝えさせて頂く趣旨で本記事を作成させて頂いております。
この度の熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。外国人の方を含め、現在も生活や仕事、各種手続などでご不安を抱えている方も多くいらっしゃることと存じます。本記事が、少しでも必要な情報を届ける一助となれば幸いです。
まず、今回の措置は大きく次の4つに分けて考えると分かりやすいでしょう。
まずは全体像を一覧でご確認頂き、その後それぞれ詳しく説明していきます。
| A 在留期間等の延長 | |
|---|---|
| 何を救済する? | 留期間そのもの |
| 地域要件 | あり |
| 地震との関係 | 所定の対象要件を満たすこと |
| 主な効果 | 在留期間を2027年1月27日 |
| 一言でいうと | 期限そのものを延ばす |
| B 義務免責 | |
|---|---|
| 何を救済する? | 届出等の義務 |
| 地域要件 | 明示的な地域限定なし |
| 地震との関係 | 地震の影響で履行困難である |
| 主な効果 | 2026年11月27日までに履行すれば 不利益な取扱いをしない |
| 一言でいうと | 届出等の遅れを救済 |
| C 在留諸申請の特例 | |
|---|---|
| 何を救済する? | 更新・変更等の申請 |
| 地域要件 | 明示的な地域限定なし |
| 地震との関係 | 被災により申請できないこと |
| 主な効果 | 期限後でも個別に申請を取り扱う |
| 一言でいうと | 期限後申請等を個別救済 |
| D 資格外活動許可の特例 | |
|---|---|
| 何を救済する? | 本来の仕事ができない期間の就労 |
| 地域要件 | あり※ |
| 地震との関係 | 地震の影響で本来活動が困難であること |
| 主な効果 | 一時的な資格外活動を認める |
| 一言でいうと | 一時的に別の仕事を認める |
※資格外活動許可の特例については、在留資格その他の要件があります。
今回の措置の中で、最も多くの外国人に関係する可能性があるのが在留期間等の満了日の延長です。
ここでいう「在留期間等」とは、在留期間だけを指しているわけではありません。
出入国在留管理庁では、今回の延長措置の対象として、次の6つを定めています。
それぞれについて所定の要件を満たす場合には、その満了日が2027年1月27日まで延長されます。
このうち、一般の外国人の方に特に広く関係するのが「在留期間」の延長ですので、以下では在留期間を中心に詳しく説明します。
在留期間については、令和8年熊本地震が発生した2026年7月28日時点で、次の3つすべてに該当する人が対象です。
「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「経営・管理」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」などに限らず、「短期滞在」の外国人も対象に含まれます。
また、2026年7月28日時点ですでに在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請を行い、従来の在留期間を経過して「特例期間」に入っていた人も対象に含まれます。
✅特例期間
在留カードを所持している方が、在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において、当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは、当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留でき、従前の活動を行うことができます。
令和8年熊本地震について、災害救助法が適用された地域は熊本県内の10市10町1村、合計21市町村です。
対象地域は以下の通りです。
熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市、美里町、大津町、菊陽町、西原村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、氷川町、芦北町、津奈木町
出典:内閣府防災情報「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について 」
在留期間の延長措置の対象となっている方でも、本来の在留期限を基準として通常どおり更新・変更申請を行うことは可能です。
今回の延長措置は、熊本地震の影響によって通常どおり在留手続を行うことが困難となった方の権利利益を保全するために設けられたものです。
そのため、実際に被災して、
「必要な書類を準備できない」
「勤務先が被災して申請の準備が進められない」
「避難生活などにより、通常どおり手続を行うことが難しい」
といった事情がある方については、今回の延長措置を活用することができます。
一方で、実際には地震による影響をほとんど受けておらず、通常どおり更新・変更申請を行うことができる方については、一律に在留期間が延長されるからという理由だけで申請を先延ばしにせず、本来の在留期限を基準として通常どおり手続を進めておく必要があります。
制度上一律に延長の対象となっている場合であっても、今回の措置が設けられた本来の趣旨を踏まえて、更新・変更申請を判断していただければと思います。
今回の延長措置は、
「自宅が全壊した人だけ」
「罹災証明書を持っている人だけ」
を対象とした制度ではありません。
災害救助法が適用された地域は前述の通り、熊本県内の21市町村と非常に広く、例えば熊本市に住んでいて、実際には自宅にほとんど被害がなかったという外国人の方でも、先ほど説明した要件を満たせば、在留期間の延長措置の対象となります。
そのため、実際には地震による影響をほとんど受けていない方も、この延長措置の対象となっているケースがあります。
ただし、延長措置の対象となっているからといって、必ず2027年1月27日まで更新・変更申請を行わなくてよいという意味ではありません。
実際には地震による影響をほとんど受けておらず、通常どおり申請できる方については、対象とされているからという理由だけで申請を先延ばしにせず、本来の在留期限を基準として通常どおり手続を進めなければなりません。
今回の措置は、あくまで熊本地震の影響によって通常どおりの手続を行うことが困難となった方の権利利益を保全するために設けられたものです。
制度上一律に延長の対象となっている場合であっても、今回の措置が設けられた本来の趣旨を踏まえて、更新・変更申請を判断していただければと思います。
ここは注意が必要です。
今回の措置によって在留期間が延長された場合でも、再入国許可の有効期間及び資格外活動許可の有効期間は延長されません。
在留期間が2027年1月27日まで延長されたからといって、これらの許可期間まで自動的に延長されるわけではありませんので、該当する方はそれぞれの期限を確認しておく必要があります。
2つ目は、熊本地震の影響によって、入管法等で定められた一定の義務を期限内に履行できなかった場合の救済措置です。
入管の案内では「届出等」と表現していますが、対象となるのは単なる「届出」だけではありません。
例えば、次のような手続が対象に含まれています。
▶新規上陸後の住居地の届出
▶引っ越した場合の住居地変更の届出
▶氏名・国籍等の在留カード記載事項の変更届出
▶在留カードの有効期間更新
▶紛失・盗難等による在留カードの再交付申請
▶在留カードの返納
▶所属機関等に関する届出
▶在留資格取得の申請
▶特定技能所属機関や登録支援機関が行う各種届出
▶特別永住者に関する届出、証明書の更新・再交付・返納 など
このように、今回の救済措置は「届出が遅れた場合」だけではなく、法律上一定の期限までに行うことが義務付けられている申請・更新・再交付・返納なども対象となっています。具体的な対象手続については、出入国在留管理庁が「特措法4条措置(義務免責)一覧」として公表しています。
参考:出入国在留管理庁「特措法4条措置(義務免責)一覧」
熊本地震の影響によって、これらの義務を履行することが困難であったと認められる場合には、2026年11月27日までにその義務を履行すれば、期限内に履行できなかったことについて不利益な取扱いをしないとされています。
ここで、前述したAの「在留期間等の延長」との違いにも注意が必要です。
Aは、一定の要件を満たす場合に在留期間や在留カードの有効期間等の満了日そのものが2027年1月27日まで延長される措置です。
これに対してBは、本来の期限そのものを一律に延長するのではなく、熊本地震の影響で期限内に義務を履行できなかった場合について、2026年11月27日までに履行することを条件として、その不履行について不利益な取扱いをしない措置です。
また、Aのような「救助法適用区域にある者・住居地がある者」という地域要件は、このBについては入管の案内上明記されていません。
そのため、ポイントとなるのは、
「熊本地震の影響によって期限内に義務を履行することが困難であったと認められるか」
という点です。
Aとの違いが少し分かりにくいのが、この「在留諸申請の取扱い」です。
出入国在留管理庁は、
被災したことにより在留期間内に申請できなかった人については、当面の間、在留期間を経過した場合であっても個別に手続を行う
としています。
両者の違いを簡単にいうと、
A:在留期間の満了日そのものが2027年1月27日まで延長される
のに対して、
C:在留期間自体が当然に延長される制度ではないものの、被災が原因で期限内に申請できなかった場合に、期限後でも個別に手続を行ってもらえる
という違いです。
例えば、Aの一律的な延長措置の対象にならない人であっても、熊本地震の影響によって実際に在留期間内の申請ができなかった場合には、Cによる個別的な救済の対象となる可能性があります。
この場合は、自己判断で期限後に申請するのではなく、まず最寄りの出入国在留管理局へ相談することが重要です。 出入国在留管理庁も、期限を経過した場合には近くの入管で申請のための相談を行うよう案内しています。
Cにはもう一つ重要な特例があります。
地震によって本来の住居地から一時的に移動・避難している人については、現在の滞在先を管轄する地方出入国在留管理局で申請することができます。
例えば熊本県に住んでいた外国人が、被災によって県外の親族宅などへ一時避難しているケースでは、通常の住居地を管轄する入管まで戻って申請することが困難な場合があります。このようなケースにも対応するための措置です。
熊本地震によって勤務先が被災すると、外国人本人には働く意思があっても、本来の在留資格に基づく仕事を一時的に行えなくなる場合があります。
そこで出入国在留管理庁は、一定の要件を満たす外国人について、本来の在留資格で認められている活動以外の仕事を一時的に行うための資格外活動許可の特例措置を実施しています。
例えば、勤務先の被災によって一時的に本来の業務を行えなくなった外国人が、現在の会社で別の仕事を行ったり、一定期間ほかの会社で働いたりすることを想定した措置です。
ただし、
「熊本地震の被災者であれば誰でも自由にアルバイトできる」
という制度ではありません。
本来の在留資格に基づく活動が地震の影響によって一時的に困難となっていることなど、所定の要件を満たしたうえで、資格外活動許可を受ける必要があります。
申請に際しては、資格外活動許可申請書のほか、所属機関が作成する申請者の状況説明書、旅券・在留カードの写し等が必要とされています。
被災によって休業等を余儀なくされている外国人を雇用している企業にとっても重要な制度ですので、対象となる可能性がある場合には個別に確認することをおすすめします。
技能実習については、さらに別の取扱いが公表されています。
技能実習を行っている事業所が被災し、技能実習生が技能実習を再開するための環境を復旧する作業を行う場合については、当面の間、資格外活動許可を受ける必要はないとされています。
例えば、被災した実習実施者の事業所における復旧作業などが想定されています。
これは先ほど説明したDの資格外活動許可の特例とは別の取扱いですので、技能実習生を受け入れている企業・監理団体は区別して確認する必要があります。
実際の建物被害の有無だけで決まる制度ではありません。
2026年7月28日時点において、在留資格を有して日本に在留しており、在留期間が2027年1月26日までに満了し、救助法適用区域にある、または同区域に住居地があるなどの要件を満たせば、措置の対象となります。
今回公表されている在留期間延長の対象要件に、罹災証明書の取得は掲げられていません。
したがって、「罹災証明書がない=延長対象外」ということではありません。
実際には地震による大きな影響を受けておらず、通常どおり手続できる場合には、従来の在留期限を基準として通常どおり更新手続を進めなければなりません。
そうとは限りません。
Aの在留期間延長には地域に関する要件がありますが、Bの義務免責やCの在留諸申請の取扱いは、Aとは異なる仕組みです。
例えば、熊本地震による被災が原因で在留期間内に更新申請ができなかった場合には、出入国在留管理庁は、当面の間、期限経過後であっても個別に手続を行うとしています。
被災によって本来の住居地から一時的に移動・避難している場合には、現在の滞在先を管轄する地方出入国在留管理局で申請することができます。
一定の要件を満たす場合には、今回設けられた資格外活動許可の特例を利用できる可能性があります。
ただし、当然に他社で就労できるわけではありません。資格外活動許可を受ける必要がありますので、事前に対象要件を確認してください。
はい。あくまで2026年8月末現在の情報ですが、入管に来庁して「申出書」を提出することで、パスポートに在留期間が延長されていることを示す証明を受けることができるようです。しかし、延長後の期限を記載した新しい在留カードが交付されるわけではないようです。
令和8年熊本地震については、外国人の在留資格・ビザに関して複数の特例措置が設けられています。
特に注意したいのは、
「熊本地震の特例=全員のビザが一律に2027年1月まで延びる」
という単純な制度ではないことです。
在留期間そのものが延長される人もいれば、在留期間は延長されないものの期限後申請について個別救済を受けられる人、本来の仕事ができず資格外活動許可の特例を利用できる人など、状況によって適用される措置が異なります。
また、在留期間延長の対象者についても、実際に大きな被害を受けていない方まで一律的に対象となるケースがあります。
そのような場合、制度上の延長を理由として更新手続を必要以上に先延ばしにするのではなく、通常どおり手続できる状況であれば、従来の在留期限を基準として更新等をすべきです。
一方、本当に被災によって申請や届出、就労に支障が生じている場合には、今回設けられた特例措置を適切に利用することが重要です。
外国人のビザに関してご不安がある方は、アクロス国際行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
熊本県・福岡県はもちろん、全国からオンラインでのご相談にも対応しております。
ご事情を丁寧にお伺いしたうえで、想定される在留資格や必要書類について分かりやすくご案内いたします。
アクロス国際行政書士事務所
代表行政書士 松本 亮(まつもとりょう)
▶2019年)行政書士法人A(東京)
ビザ専門職
▶2022年)行政書士法人B(福岡)
ビザ専門部署の責任者として活動
▶2025年)アクロス国際行政書士事務所(熊本)
国際業務専門の事務所を開業
これまでに長期に渡りビザ専門行政書士として活動し、取り扱った申請は1,000件以上。企業の外国人雇用から、配偶者ビザ、永住許可、帰化申請まで幅広く対応しています。
【専門分野】
入管業務専門(外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請など)
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