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フィリピン人と国際結婚する場合、婚姻手続きの進め方は、大きく分けて次の2つの内いずれかの方法をとるのが一般的です。
▶日本で先に結婚する方法
▶フィリピンで先に結婚する方法
どちらの方法でも最終的には日本とフィリピンの双方で婚姻を反映させる必要がありますが、必要書類や手続きの流れは大きく異なります。
フィリピンで先に結婚する場合は、日本人がフィリピンへ渡航し、Marriage License(婚姻許可証)の取得や結婚式など、日本では経験しない手続きが必要になります。
また、Marriage Licenseの申請後には公告期間も設けられているため、数日間の短期滞在だけでは婚姻手続きが完了しないケースも少なくありません。
この記事では、フィリピンで先に結婚する場合の流れについて、自らフィリピン人との国際結婚を果たしたビザ専門行政書士が自らの経験を基に実務上の注意点も交えながら分かりやすく解説します。
目次
1.必要書類を準備する
2.婚姻要件具備証明書を取得する
3.Marriage License(婚姻許可証)を申請する
4.結婚式を行う
5.PSA発行の結婚証明書を取得する
6.日本へ婚姻届を提出する
7.配偶者ビザの申請を行う
フィリピン人との国際結婚では、
「日本で先に結婚する方法」と「フィリピンで先に結婚する方法」
の2つのいずれかを選択するのが一般的です。
どちらを選んでも最終的に婚姻は成立しますが、それぞれメリット・デメリットがあります。
日本で先に結婚した場合、フィリピンで発行されるのはMarriage Certificate(結婚証明書)ではなく、Report of Marriage(婚姻報告書)となります。
そのため、
「大切な記念だからフィリピンの結婚証明書を獲得したい」
「フィリピンで正式に結婚式を挙げ、その結婚証明書を取得したい」
と考えている方は、フィリピンで先に婚姻手続きを行う方法も検討するのも良いと思います。
フィリピンで婚姻を成立させるため、日本で先に結婚した場合のように後からReport of Marriage(ROM)を提出する必要がありません。
フィリピン側の婚姻登録を先に済ませられる点は大きなメリットです。
PSA発行のMarriage Certificateを取得できれば、その書類を利用して日本への婚姻届を進めて、戸籍に反映され次第、配偶者ビザ申請を進められます。
入管へ提出するフィリピン側の結婚証明書も準備しやすくなります。
Marriage Licenseの申請や結婚式への出席など、日本人が現地へ渡航することが前提となります。
仕事の都合などで長期間休暇を取りにくい方にとっては負担となる場合があります。
Marriage Licenseの申請後には公告期間があり、さらにPSAへ婚姻情報が反映されるまで一定期間かかります。
日本で婚姻届を提出する方法と比べると、婚姻成立から各種手続きまでに時間を要する傾向があります。
必要書類や婚前セミナー、Marriage Licenseの運用は自治体によって異なります。
事前確認を怠ると、追加書類や再訪問が必要になることがあります。
また、日本での情報収集よりもフィリピン国内の情報収集はインフラが整っていない分大変です。そのような中でフィリピン人側に動いてもらうことが多くなり、負担が大きくなることもデメリットのひとつです。
日本で先に結婚する場合と比較すると、航空券代や宿泊費などの費用負担が発生します。
渡航期間が長くなるほど、仕事を休むことによる影響も考慮する必要があります。
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まずは、日本人とフィリピン人の双方で必要書類を準備します。
必要書類は、
などによって異なる場合があります。
✅日本人側の主な必要書類
▶パスポート
▶戸籍謄本
▶婚姻要件具備証明書
▶証明写真
▶離婚や死別を証明する書類(該当者のみ)
▶その他、市役所から指定された書類
など
✅フィリピン人側の主な必要書類
▶PSA発行の出生証明書
▶PSA発行のCENOMAR
▶有効な身分証明書
▶Barangay Certificate
▶Cedula
▶婚前セミナー修了証
▶両親の同意書・承諾書(年齢要件に該当する場合)
など
CENOMAR(Certificate of No Marriage Record)は、婚姻歴がないことを証明する書類です。
過去に婚姻歴がある場合には、CENOMARではなく、Advisory on Marriagesなど別の書類が必要になります。
フィリピンでは、年齢によって追加書類が必要となります。
18歳~20歳
→ 両親の同意書(Parental Consent)
21歳~25歳
→ 両親の承諾書(Parental Advice)
26歳以上の場合は、これらの書類は通常必要ありません。
フィリピンでは、市役所(Local Civil Registrar)によって必要書類や運用が異なることがあります。
例えば、
などが異なるケースもあります。
インターネットの情報だけで準備すると追加書類を求められることも少なくありません。
渡航前に婚姻予定地の市役所へ確認しておくことをおすすめします。
日本人がフィリピンで結婚するためには、
婚姻要件具備証明書
を取得する必要があります。
この証明書は、
▶在フィリピン日本国大使館
▶在セブ日本国総領事館
▶在ダバオ日本国総領事館
で取得できます。
日本人本人が窓口へ出向いて申請するのが原則です。
✅婚姻要件具備証明書の取得に必要な主な書類(日本人)
一般的には、
▶申請書
▶戸籍謄本(発行3カ月以内)
▶パスポート原本
▶フィリピン人の出生証明書
などを提出します。
婚姻歴によって追加書類が必要になることもあります。
離婚歴がある場合については、その事実の立証、分籍などにより申請人本人が戸籍の筆頭者になっている場合には過去の結婚歴がないことの立証が別途必要になる為、状況により以下の書類が必要になる場合があります。
▶改製原戸籍
▶除籍謄本
✅婚姻要件具備証明書の取得に必要な主な書類(フィリピン人)
▶出生証明書
なお、海外の書類は記載事項が不鮮明なケースも珍しくありません。不鮮明で確認ができない場合、有効な旅券、ID又は洗礼証明書などもご準備しておくとよいでしょう。
市区町村によって追加書類を求められることがありますので、提出前に管轄の市区町村役場へ確認しておくことをおすすめします。
婚姻要件具備証明書の原本はMarriage License申請時に提出します。
その後、日本へ婚姻届を提出する際に写しを求められることもあります。
提出前に写しまたは写真データを保存しておくと安心です。
なお、後々配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)を取得して日本を拠点に暮らしていくところまで見据えれば、その後の手続きに際して提出する書類はできる限りすべて写しを取得しておいた方がよいかと思います。
婚姻要件具備証明書を取得したら、フィリピン人側の住所地を管轄するLocal Civil RegistrarでMarriage Licenseを申請します。
Marriage Licenseとは、フィリピンで婚姻するために必要な婚姻許可証です。
日本のように婚姻届を提出するだけで婚姻が成立する制度ではなく、Marriage Licenseの交付を受けた後、権限のある者の前で結婚式を行うことで婚姻が成立します。
✅日本人の必要書類
一般的に、日本人は次の書類を準備します。
▶パスポート
▶出生証明書又は戸籍謄本(英訳が必要な場合があります)
▶婚姻要件具備証明書(日本大使館・総領事館発行)
▶婚姻要件具備証明書の英訳(必要な場合)
▶証明写真
▶その他、自治体から求められる書類
婚姻要件具備証明書は、日本人が法律上婚姻できる状態にあることを証明する書類です。フィリピンで婚姻する場合、最も重要な書類の一つとなります。
✅フィリピン人の必要書類
一般的に、フィリピン人は次の書類を準備します。
▶PSA発行の出生証明書(Birth Certificate)
▶PSA発行の独身証明書(CENOMAR)
▶有効な身分証明書(Government ID)
▶証明写真
▶その他、自治体から求められる書類
また、自治体によっては次の書類を追加で求められることがあります。
▶Barangay Certificate(住民証明書)
▶Cedula(Community Tax Certificate)
必要書類は自治体ごとに異なるため、Marriage Licenseを申請するLocal Civil Registrarへ事前に確認することをおすすめします。
また、Marriage Licenseの申請後、自治体の案内に従って、婚前カウンセリングや家族計画に関するセミナーを受講します。受講後に発行される証明書は、Marriage Licenseの交付を受ける際に提出します。セミナーの名称や実施方法、対象者は自治体によって異なるため、申請先のLocal Civil Registrarに確認してください。
Marriage Licenseの申請手続きでは、多くの自治体でFamily Planning and Responsible Parenthood Seminar(婚前セミナー)の受講が必要です。
セミナーでは、
などについて説明を受けます。
なお、婚前セミナーを受講するタイミングは自治体によって異なります。
Marriage Licenseの申請後に受講する場合もあれば、申請前に受講を求められる場合もあります。そのため、事前に婚姻予定地の市役所へ確認しておくと安心です。
必要書類がそろったら、Marriage Licenseを申請します。
申請は、原則として日本人・フィリピン人双方が市役所へ出向いて行います。
Marriage Licenseを申請すると、婚姻予定者の氏名などが市役所に公告されます。
一般的には約10日間の公告期間が設けられており、その後Marriage Licenseが交付されます。
そのため、Marriage Licenseを申請した当日に結婚式を行うことは通常できません。
フィリピンで先に結婚する場合は、
婚姻要件具備証明書の取得
▼
婚前セミナー受講
▼
Marriage License申請
▼
公告期間
▼
Marriage License交付
▼
結婚式(牧師等)の手配
▼
挙式
という流れになります。
そのため、数日間だけフィリピンへ渡航してすべての手続きを終えることは難しいケースがあります。
日本で仕事をしている方は、渡航日程を決める前に、婚姻予定地の市役所へ必要日数を確認しておくことをおすすめします。
Marriage Licenseが交付されたら、権限を持つ婚姻挙行者の前で結婚式を行います。
フィリピンでは、この結婚式によって婚姻が成立します。
婚姻挙行者には、
などのうち、いずれか1名ですが、著者がみてきた国際結婚はほぼすべて牧師が対応しています。
また、成年の証人2名も必要となります。
日本のように婚姻届を提出するだけで婚姻が成立する制度とは異なるため、この点は日本人が最も戸惑いやすいポイントの一つです。
教会などで結婚式を行う場合は、婚姻を執り行う権限を持つ牧師を事前に予約する必要があります。
希望する日程に対応できる牧師が見つからず、結婚式の日程調整に苦戦するケースもあります。そのため、渡航日程やMarriage Licenseの交付予定日が決まったら、できるだけ早めに牧師へ相談しておくことをおすすめします。
また、牧師によっては、結婚式の予約を受ける前に夫婦との面談やカウンセリングを必須としている場合があります。
面談日と結婚式当日の2回、夫婦そろって出向く必要が生じることもあるため、予約時には次の点を確認しておきましょう。
✓希望日に結婚式を行えるか
✓事前面談やカウンセリングが必要か
✓Marriage License以外に必要な書類があるか
✓Marriage Certificateの提出まで対応してもらえるか
結婚式が終了すると、夫婦、婚姻挙行者及び証人がMarriage Certificateに署名します。
通常は、結婚式を執り行った牧師などの婚姻挙行者が、署名済みのMarriage Certificateを結婚式が行われた地域のLocal Civil Registrarへ提出し、婚姻登録の手続きを進めます。
そのため、夫婦が自分たちだけで登録手続きを一から行うケースは一般的ではありません。ただし、提出時期や手続き方法は婚姻挙行者によって異なることがあるため、結婚式の終了後に、Marriage Certificateをいつ提出する予定か確認しておくと安心です。
また、Marriage Certificateには、夫婦の氏名、生年月日、出生地、両親の氏名などが記載されます。誤りがあると、その後の日本への婚姻届や配偶者ビザ申請にも影響するため、署名する前に記載内容をよく確認しましょう。
Local Civil Registrarへ婚姻が登録されると、その情報がPSAへ送られます。
PSAへの反映後は、PSA発行のMarriage Certificate(結婚証明書)を取得できるようになります。
PSAへの反映時期は自治体によって異なります。早ければ約1か月程度で取得できるケースもありますが、数ヶ月かかる場合もあります。
個人差もあるかと思いますが、著者の場合はフィリピン国内での挙式から約1カ月後にPSA発行のMarriage Certificate(結婚証明書)が取得できるようになりました。
Marriage Certificateは、結婚式が終わればすぐに取得できるわけではありません。
Local Civil RegistrarからPSAへデータが送られ、登録が完了するまで一定期間かかります。
地域や時期によって異なりますが、数週間から数か月程度かかるケースもあります。
そして、
日本への婚姻届については、必ずしもPSA発行のMarriage Certificateが取得できるまで待たなければならないわけではありません。
Local Civil Registrarで婚姻登録が完了し、同機関が発行する登録済みのMarriage Certificateを取得できれば、この書類を使用して日本側へ婚姻を届け出られる場合があります。
実際に、
結婚式から1~2週間程度でLocal Civil Registrar発行のMarriage Certificateを取得
して、日本で婚姻届を提出できるケースもあります。なお、登録完了までの期間は自治体や婚姻挙行者によって異なる他、役所によっても対応に若干の違いが感じられますので、事前に各機関に確認しておくことをおすすめします。
PSA発行のMarriage Certificateが取得できたら、日本側へ婚姻届を提出します。
提出先は、
のいずれかです。
婚姻届が受理されると、日本の戸籍にも婚姻内容が反映されます。
✅日本の役所への婚姻届に必要となる主な書類
一般的には、
▶婚姻届
▶PSA発行のMarriage Certificate
▶フィリピン人側の出生証明書
▶フィリピン人側のパスポート
▶日本人の戸籍謄本
▶外国語書類の日本語訳
▶その他必要書類
を提出します。
Marriage Certificateなどフィリピンで発行された書類に関しては、PSA発行のものが取得できるまでに時間がかかる際は、Local Civil Registrar発行のMarriage Certificateを取得して代用することもあります。
✅日本国大使館/総領事館への婚姻届に必要となる主な書類
一般的には、
▶戸籍謄本(抄本)
▶日本人側のパスポート
▶フィリピン人側の出生証明書
▶フィリピン人側の身分証明書(パスポート、IDなど)
▶婚姻証明書の謄本(Certified True Copy of Marriage Certificate)
を提出します。
Marriage Certificateなどフィリピンで発行された書類に関しては、PSA発行のものが取得できるまでに時間がかかる際は、Local Civil Registrar発行のMarriage Certificateを取得して代用することもあります。
日本の役所への届出について、基本的には夫婦両方が役所に赴くことが望ましいですが、日本人配偶者だけの単独で行うこともできます。その場合、通常届出をしてから2週間前後で戸籍に外国人配偶者の情報が記載されることになり、これをもって配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請が可能となります。
対してフィリピン国内の日本大使館領事館への届出をした場合、通常戸籍への情報反映までに2カ月前後かかることも珍しくありません。
早めに配偶者ビザ申請を進めていきたいという方は日本国内での届け出をお勧めします。
日本側へ婚姻届を提出し、必要書類がそろったら配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の申請を行います。
配偶者ビザでは、
などが総合的に審査されます。
単に結婚しているだけでは許可されるものではありません。
配偶者ビザでは、
など、多くの資料を提出します。
正式なご夫婦であっても絶対ということはなく、不許可になる可能性は誰にでもあります。
結婚手続きと配偶者ビザの審査は別の手続きですので、それぞれ適切に準備することが重要です。
基本的には、日本人本人がフィリピンへ渡航する必要があります。
婚姻要件具備証明書の取得やMarriage Licenseの申請、結婚式への出席など、日本人本人が行う手続きが複数あるためです。
短期間で手続きを終えることは難しい場合もありますので、余裕を持った日程を組むことをおすすめします。
いいえ。
Marriage Licenseを申請すると、一般的には約10日間の公告期間が設けられます。
そのため、申請当日にMarriage Licenseが交付されることは通常ありません。
また、婚前セミナーの受講が必要となる自治体も多いため、数日間の滞在だけでは婚姻手続きが完了しないケースもあります。
いいえ。
Marriage Certificateは、Local Civil Registrarで婚姻登録された後、PSAへデータが反映されて初めて取得できます。
反映までにかかる期間は地域や時期によって異なりますが、数週間から数か月程度かかることもあります。
日本への婚姻届や配偶者ビザ申請の予定がある場合は、この期間も考慮してスケジュールを立てることが大切です。
フィリピンで婚姻が成立しただけでは、すぐに配偶者ビザを申請できるわけではありません。
一般的には、PSA発行のMarriage Certificateを取得した後、日本側へ婚姻届を提出し、日本の戸籍へ婚姻内容が反映されたうえで、必要書類をそろえて配偶者ビザを申請します。
また、配偶者ビザでは婚姻の成立だけでなく、結婚の実態や夫婦の生活基盤なども審査されます。
必要書類や審査のポイントについては、別記事で詳しく解説しています。
フィリピンで先に結婚する場合は、日本で先に結婚する方法と比べて手続きが多く、Marriage Licenseの申請や婚前セミナー、公告期間など、日本にはない制度への対応が必要になります。
一方で、フィリピン側の婚姻手続きを先に完了できるため、その後はPSA発行のMarriage Certificateを利用して、日本への婚姻届や配偶者ビザ申請を進めることができます。
どちらの方法が適しているかは、
などによって異なります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせて選択することが大切です。
アクロス国際行政書士事務所
代表行政書士 松本 亮(まつもとりょう)
▶2019年)行政書士法人A(東京)
ビザ専門職
▶2022年)行政書士法人B(福岡)
ビザ専門部署の責任者として活動
▶2025年)アクロス国際行政書士事務所(熊本)
国際業務専門の事務所を開業
これまでに長期に渡りビザ専門行政書士として活動し、取り扱った申請は1,000件以上。企業の外国人雇用から、配偶者ビザ、永住許可、帰化申請まで幅広く対応しています。
【専門分野】
入管業務専門(外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請など)
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